普段あまり意識せずに使っている素材ってありますよね。アクリルもそんな素材だと思います。
アクセサリーやキーホルダー、カバンの持ち手やパーツなどの小物から、お店によくある箱や展示台、水族館の水槽など。
透明度が高くて加工しやすいのでいろいろなところで使われているけれど、普段はほとんど意識しないと思います。
そんな身近なアクリルを製作していて、お店にもよく来てくれる”ミユキアクリル”さんにお願いして、普段なかよくしているandFABさんとFacebookページを見て応募してくれた人、みんなで工場見学をさせてもらいました。
ミユキアクリルさんは北綾瀬にあります。
今までにお店にもミユキアクリルさんに行ったことがあるというクリエイターさんが多くきていて、「あの工場見学はすごいよ。絶対にたのしいよ」といっていたのがすごく印象的で、楽しみに向かいました。
駅から普通の住宅街の中を歩いていくと急に普通じゃないアクリルプレート。奥に入って行くとそこには歓迎の看板がありました。
中に入ると全員の自己紹介。カメラを向けるときちんとポーズを取ってくれる社長と、お店に自転車できてくれる専務。80歳をこえても仕事を手伝っているおばあちゃんからものづくりが大好きな社員の方々。
アットホームな雰囲気にあっという間にみんなの気持ちが軽くなりました。
もちろん工場見学なので、入っては行けない所や写真を撮っては行けない場所や商品などを説明してもらい、それ以外はどんどん見て質問してアクリルを好きになって帰ってねと言ってもらいました。
そしてみんなが驚く歓迎がこの後待ち受けていました。これは嬉しいおもてなしですね。(これは行った人にしかわからない秘密です)
ミユキアクリルさんは特注で自分たちの世界観に合うものを素材から作っています。
これまで6000種類以上の品番をつくっているそうです。
なかには職人の一点ものの高価なアクリルなどもあり、普段では見ることのできない貴重品も見せてもらいました。
それぞれの棚にはどのアクリルが入っているかが分かるように、品番や加工に際しての注意点や改善点などが書かれています。
お店でも、一見同じに見えても加工や原材料が違うと印刷が剥がれたり、不具合が出たりすることがあります。
単色のアクリルでも、その透明度によって三種類があります。
ラメ入りはいろいろなカラーアクリルの中にラメを混ぜ込んでつくるので、ベースのアクリルの色とラメ自体の色の組み合わせによってかなりの種類があり、棚全体がキラキラしていました。
職人さんが筆で色付けしたものを封入したアクリルは世界で一つだけの作品です。
すごくきれいでアクセサリーなどに使うと面白そうだなと思います。
べっ甲柄はアクセサリーによく使われるようで、一重にべっ甲といっても色んな種類や色味があり迷ってしまいます。
ミユキアクリルさんお得意の布が挟んであるアクリル。デニムのものがあったりすごく綺麗です。
マーブルも綺麗でうっとりします。これも手作りなので一つとして同じ柄はないようです。
社長がアクリルのこと、機械のこと、会社のこだわりのこと、いろいろ説明をしてくれました。
ミユキさんも昔は部品だけを作っていたけど、時代の波で新しいことに挑戦していかないといけなくなり色々と試行錯誤したそうです。
「製造業はもうからないと思っていると新しいことに挑戦できるんだ」という言葉が印象的でした。
「最初からもうけることを考えるんじゃなくて、自分が作りたいもの綺麗なものをつくっているとお金は後からついてくるものだから、丁寧にしっかりときれいなものをつくるのがいいんだよ」「ちょっとお金が入れば今度は新しい機械がいれられる。そうすると今までできなかった新しい仕事ができるのが嬉しいんだよね」とおっしゃっていました。
「アクリルを削るこの機械はもう28年使っていて、データも3.5インチのフロッピーで入れるんだけど、昔の機械は重くてしっかりしていて今の機械みたいに壊れないから優しくメンテナンスしていけばずっと使えるんだ。この機械も買った時には世田谷で一年寝かして、日本の四季の季節に合わせた金属の伸び縮みを体験させてから納品していたんだよ」と教えてくれました。
アクリルを削るビットも師匠から受け継いで自分なりにいろいろ改良を重ねているそうで、「見せたり話したりしてもこういうのは真似できないからどんどん見せちゃうんだよね」「OPENにしてクリエイターさんに見せることの方が絶対に楽しくていい仕事ができるんだ」って教えてくれました。
抜き刃をつかって最後にアクリルを抜く所のノウハウもすごく面白かったです。
この操作盤もちゃんと3D軸の計算ができるように28年前から作られているから大したもんだよねって話してくれました。
ちなみにフロッピーディスクとパソコンは買いだめしてあるようです。
アクリルを磨くこの機械。あと数年しないと本当の意味で完成しないという機械のようです。
なぜならこの中に入っているのは竹のかけらで、この中にアクリルで出来たパーツを入れて丸々三日間、磨き剤と一緒に混ぜ続けることでアクリルの角が丸くなります。
そうして磨く竹自体ももっと角がとれて丸くなったときがこの機械が本当に完成するときなんだというのにびっくりしました。
確かにこういうパーツもどうやって磨くのかとずっと思っていました。
四角いものなどはグラインダーで削り、小さいアクセサリーやキーホルダー等は竹の磨き機で磨くそうです。
そういう時間をかけて育てる機械があると思えばその隣には最新のレーザー加工機やUVプリンターが置いてあります。レーザ−はすべてトロテックの機械でした。
例えばデジタル機器が好きな社員さんはそれを題材にしたものをつくる。そして自分で売ってみる。このドック型スピーカーもいい音がしてました。
野球が大好きすぎる社員さんは、自分でやりたい企画や商品を考えて、試作を作って持ち込んでみる。
ブログにのせて情報発信してみる。結果として知人に紹介してもらって好きな球団の仕事をしたりしているそうです。
こんな熱い思いで提案されたら採用したくなるなと思いました。
いろんな材料を無駄にせずアイデアを形にする。会社の中もアイデアの宝庫です。早速この時計はお店でも作ってみることにしました。
あまりにきれいなアクリルに感動した何人かが話しの流れでバングルを作ってもらうことになりました。
熱をかけて温めて型にはめていきます。
型にはめるのはかなり熱いんですが、素手でやって水につけて固定します。アクリルは比較的低い温度で曲がるのも特徴です。
形がおおまかに決まったら再度熱をかけて調整します。
完成です。アクリルの綺麗さにうっとりします。アクリル自体の色が部分部分で違うので完成したものも個性があって綺麗でした。
見学がひと通り終わると何故かワインバーが。専務自らテイスティングしたワインから、畑でとってきた美味しいきゅうりやいろいろなおつまみが出てきました。
ダンディーでこの写真で見る限り普通のBARみたいに見えますが、アクリル工場です。
そのままアクリルを見ながら、アクリルのことやものづくりの楽しさなどを話したり、参加した人の悩み相談も飛び出してすごく楽しい時間でした。
最後にはアクリルを買ったり商品を見せてもらって大満足で帰りました。
普段は完成品しか見えない時代になってしまいましたが、これだけ素材からつくり方までこだわっている会社が、こうやって個人、会社を問わずいろいろな人を招いてアイデアやノウハウをOPENにすることでどんどん楽しい工場になっているんだなと思いました。
ミユキアクリルさんありがとうございました。
そして今度は「アクリル餃子会」も開催される予定なのでFacebookページやホームページで告知します。楽しみにしていてください。
[会社名] 有限会社 三幸(ミユキ)
[代表取締役] 小沢頼孝
[所在地] 〒120-0003 東京都足立区東和5-12-24
[電話番号] 03-3629-0331